ちんとんしゃんてんとん

好きな娯楽、ダラダラ日記、生活のことを書いている

『フィフス・シーズン〜春の来ない村〜』を観た。

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監督・脚本:Peter Brosens

      Jessica Woodwar

出演:Aurelia Poirior

   Django Schrevens

   Sam Lauwych

 

何か春が来ないんですけどって話です。

 

日本劇場未公開で、

WOWOWでやってたのを観ました。

 

 

”まるで地獄だ”

 

主人公の母親が割と早い段階で口にする台詞です。

 

タイトル通り、春が来ない、という映画です。

舞台はとある村です。

どうやら世界中で春が来ていないようなんですが、

ある村だけ焦点をあてて話が進んで行きます。

といってもハッキリしたことが言われた訳では

ないので、本当はどうなのかは分からない。

 

 地獄といっても、 血みどろの狂気の沙汰が待っている訳ではなく、

あくまで静かな静かな作品です。

 

植物が冬の状態から変わらない、という感じで、

多分気温的には春夏秋は来ているみたいですが、

(劇中そういう文字もでる)

実際のところどんな感じかは分かりません。

何でか最後まで理由もハッキリ分かりません。

テレビもラジオもインターネットもでてこないので、

村以外のことは映りません。

ただ植物が育たなくなり、生物は絶えていきます。

 

 

そんな中、この映画内では生きている生物を

挙げて行きます。

 

①人間

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人間の話ですから、人間は出てきます。

 

 

②虫

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虫といっても生きているのはハエぐらいです。

登場人物のうちの一人は養蜂をしているのですが、

蜂は一匹残らずいなくなります。

 

 

③鳥

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鳥といっても、

鶏と空飛んでるカラスと思われる鳥ぐらいしか

出てきません。

 

ハエもそうですけど、普段何食べて生きているんだって

思うような生き物しか、人間以外は出てきません。

 

牛は乳が一等最初に出なくなるのですが、

それは結局国と思われる業者によって回収されてしまいます。

魚もどんどん死んで行きます。

 

ということで食料は保存が効くもののみで

人間は生活していきます。

登場してくる村は農業でなりたっている人たちが

大勢いるので、仕事もなくなります。

 

そんな様子を静かに撮っています。

 

前回の『蜩ノ記』みたいに基本固定されたカメラで

カメラ自体が動くことはありません。

固定されたカメラで撮影された映画の特徴に

なるのかもしれませんが、

画がとにかくデザインされていて、

1つ1つのショットが美しいです。

引きの画も多く、シンメトリーになっています。

 

それがじわじわゆっくりと人が

狂って行く様子を

距離を置いて淡々と写しています。

 

それにしても、こういう時”狂って行く”という

表現は正しいのか分かりません。

日常の正義が、非日常の正義と一致するかというと

また別の話なように、

日常のまともが、非日常のまともと一致するかは、

ちょっと分かりませんね。

 

でも、非日常でもクソ野郎にはなりたくないと、

こういう映画を観るたびに思います。

 

 

カメラの距離感と静かな狂気がこれを思い出させました。

とても苦手な映画。 

籠の中の乙女 (字幕版)

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