『嗤う分身』を観た。(ネタバレあり)
監督:リチャード・アイオアディ
脚本:リチャード・アイオアディ
アビ・コリン
出演:ジェシー・アイゼンバーグ
ミア・ワコウシカ
よく似ている奴が現れた、て話。
シネマライズにて鑑賞。
リチャード・アイオアディの前作
『サブマリン』はまだ観ていませんし、
ドストエフスキーの原作も未読です。
!!!演出に関するネタバレをしています!!!
分身を、分身と認識する
ポスターの時点でずっと楽しみにしていました。
特にジェシー・アイゼンバーグのファンという訳では
ないのですが、出ていると観ようかなと思ってしまいます。
演出が比喩とかをそのまんま映像化するような方法を
とっているので、不思議な感覚になるけど
頭で考えたら「あぁそういうことか」みたいな。
お話自体がとても抽象的なだけに、
そういう演出はある意味とても直接的で
「分かりやすいけど分からない」みたいな感じになりますね。
私の気付いた範囲で、いくつかそういう演出を挙げてみます。
①顔半分
よく、右半分が建前で左半分が本音だとは言いますが、
最初からそういう演出が出てきます。
ファーストシーンの時点でジェームスの顔は
周りが明るい時は右が明るく、
暗くなったら左が明るくなる、という演出をされていて、
「この映画はそういう映画ですよ」と宣言されているみたいでした。
この照明の演出は最後まで繰り返されます。
照明といえば赤、青も特徴的に使われていました。
②サイズが合ってない服を着ている
明らかにジェームスはサイズがあってない服を着ています。
服に着られているってやつですね。
もう一人のジェームスの洋服のサイズも
同じなのかもしれませんけど、
首元とかが全然浮ついていなくて、
着方の問題でもあるのかなーと思いました。
③戸が閉める
基本的に登場人物のほとんどが無機的なので、
戸も登場人物でいいんじゃないでしょうか。
ってぐらい、戸が意図的に閉まります。
④自分が自分を追い越す
そういうシーンがあるんですが、
本人何が起こっているか分かっていないのを
追体験させてくれます。
ここは目で分かりやすくというより、
感覚的に分かりやすいといった印象です。
(伝われ!)
***
他にもいろいろあります。
気付いていないのも多そうなので
また観たら新たな発見もありそう。
この話って「自分の欲望を口に出し、
それを(自分の)特別な人から祝福される」っていう
話なんだと思うんですが、
その自分の欲望ってのがあまりにもちっぽけというか
具体的ではなく、あっけにとられてしまいました。
でも、それって誰も馬鹿にできないよなって、
あっけにとられた次には何か感動しました。
そういえば、明らかにアキ・カウリスマキっぽい
ところがありましたね。
たまにアキ・カウリスマキが引き合いにだされるのも
納得したシーンでした。
監督は好きなのかなー。
比喩をそのまま映像化するといえばホドロフスキー
先日初めて観ましたが、とても好きになりました。
本人は駄作認定していますが、私は結構好き。
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