『オオカミは嘘をつく』を観た。(ネタバレあり)
監督・脚本:アハロン・ケシャレス
ナボット・パプシャド
出演:リオル・アシュケナージ
ツァヒ・グラッド
ロラム・ケイナン
ドブ・グリックマン
ヒューマントラストシネマ有楽町にて鑑賞。
今回は最初っからネタバレしていますけど、
観る予定の方は知らない方が楽しいと思います。
いじめられっこ処世術
少女首無し殺人事件の容疑者を刑事と、
娘を殺されたお父さんが拷問しよう!って
話です。
そして拷問に耐えるのはこちら。
容疑者のドロールさん。
劇中でも「ハエも殺せなそうな男だな!」と
笑われてしまうぐらい、
いい人っぽいし、気弱そうで、
オドオドはしていないけど、
友達もそんないなそうです。
真っ先にイジメられそうなタイプといいますか、
イジメっこにつけ込まれそうなタイプ。
何で容疑者に挙げられたかは
ちゃんと説明されていません。
映画内では目撃証言があるとチラっと言われてましたが
確固たる証拠がないみたいで、
暴力好き刑事も「拷問しかねえ!」みたいになっているし
お父さんも「拷問しかねえ!」みたいになります。
(もうそろそろネタバレします)
なんで、ドロールは最後の最後まで犯人かどうかは
分からないんですね。でも、彼が犯人です。
彼はどんなことされても自白をしません。
何を言っても「知らない」
挙げ句、彼は死んで行きます。
彼の処世術だと思える部分を挙げます。
①長いものには巻かれる
彼は教師をしているのですが、
少女殺人の容疑がかかり、
校長からクビを言い渡されます。
でも、彼はそのまま何の抵抗もせずに受け入れます。
②親切にすることの重要性を理解している
というか基本人には優しいです。
よく知らないような人からは
いい人として扱われているようでした。
③痛みへの耐性
暴力に屈しないんです。先程もいいましたが、
自白なんて全然しません。
それでも彼は暴力を受け続けるのですが、
まったく自分が犯人だなんて顔色に出しません。
***
彼は一見するとイジメられっこのまま死んでいきます。
ここからは私の想像でしかありませんが、
自分が世間的に悪者でさえなければ、
イジメっこに復讐できるチャンスは失われていません。
自分が死んだとしても、(もしかしたら死んだほうが)
イジメっこが苦しむ可能性が高くなります。
彼が、彼の本性を隠すことがうまければうまいほど、
彼はどんな形であれ善良な人として最後を終えられます。
そして、それがうまくいけばいくほど、
彼を虐げた人は苦しむことになります。
何が恐ろしいかというと、そこまでしてまで
自分の本性を隠さなきゃいけない人がいるっていうのが
何か納得できちゃって怖い。
そして、そんなことをするほど
暴力には中毒性があるんだよっていうのに、
説得力があることにも怖い。
でも、この映画、笑えるんです。。。
正直結構笑ってしまうシーン沢山あります。
途中メイン3人にプラス1名増えるんですが、
まーその人が面白くて!
うすら寒さを感じながらも
笑って、楽しんでしまいました。
観てきたばかりなこともあって
『ゴーン・ガール』と比較してしまいます。
どちらもとても好き。
タランティーノで一番好き。
フィンチャーで一番好きな作品になりました。
原作も読んでみたい。