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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を観る前にしたいこと〜アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ編〜

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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』に

関していろいろ観て来たのもこれで最終回です。

 

残念ながら編集・脚本・他の俳優さんまで手はまわらなかったですが、

イニャリトゥできりがいいので、これで最後!

イニャリトゥについて考えてみます。

 

イニャリトゥの過去作についての構成については

ネタバレというほどネタバレはしていないけれど、

知らないで観た方が楽しめることは書いてあります。

鑑賞予定の方はみないことをおすすめします。

 

 

 

 

喪失したものは再生しない

 

 

イニャリトゥ監督は経歴がラジオやらテレビやらもあるので、

長編映画のみで考えてみます。

 

アモーレス・ペロス(2000年)※

21グラム(2003年)※

バベル(2006年)※

BIUTIFUL(2010年)※

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年)

The Revenant (2015年 2016年1月アメリカで予定)

 

以上6本が今まで監督した作品で

日本で公開済みなのは※の4本です。

()は製作年です。

 

4本改めて鑑賞したのですが、

イニャリトゥは”喪失”についての映画を撮る人なのだな、

という印象です。

 

4本が4本とも喪失と、それにまつわる成長もしくは希望の話で、

監督自身の経験からきているのだろうか、と思ったら、

どうやら『アモーレス・ペロス』で捧げられている

ルチアーノさんはどうやらイニャリトゥの息子さんで、

その時にはお亡くなりになっています。

喪失の話であると同時に、基本的に家族の話を

4本が4本ともしているので、

息子さんのことが関係しているのかもしれません。

(ちなみに現在、イニャリトゥには2人お子さんがいらっしゃいます。

アカデミー賞でも名前挙げてましたね。)

 

ということで、4本の大きな共通点は3つ。

  • 喪失(もしくは不在)がテーマ
  • 家族(親子・兄弟など)と男女の話
  • 個人の葛藤の話

これは『バードマン』も同じ事が言えそうですね。

家族・男女の話を通して、個人の葛藤に焦点が

あたっている印象です。

 

 

そのテーマとは別にイニャリトゥの長編映画の

面白いところは、構成にもあると思いました。

4本の映画の構成の特徴をあげていきます。

 

アモーレス・ペロス

最初にターニングポイントとなる事故をみせ、

そこから3パートに分かれます。

他のパートの登場人物の話も差し込まれてはいますが、

基本的に3パートで分かれています。

時系列は3パートで一致はしていませんが、

パート内では時間の流れが一方に流れています。

 

『21グラム』

これが一番複雑な構造をしていると思います。

主要登場人物3人がのそれぞれの話を

時系列がバラバラの中みせられますが、

あるポイントに向かってエピソードを小出しにしている、

といった感じでしょうか。

 

『バベル』

これは『アモーレス・ペロス』に近いですが、

アモーレス・ペロス』みたいにパートごとにきちっと

分かれている構成ではないですが、

モロッコパート・メキシコパート・日本パートで

それぞれのエピソードが行ったり来たりします。

これもパート内では時間の流れは一方通行です。

 

『BIUTIFUL』

これが一番シンプルで見やすい構成だと思います。

たまに心象風景っぽいシーンがあったり、

主人公以外の登場人物のシーンははさまれますが、

主人公は一人で時系列も一方通行です。

 

構成に関しては脚本との兼ね合いもあると思うので

一概にイニャリトゥが構成に凝る人とは

言えないかもしれませんが、

このフィルモグラフィーだと、構成の面白い映画を

撮る傾向にはありそうです。

 

ちなみにイニャリトゥは『バベル』から

脚本に参加してはいるようです。

本格的にクレジットに乗るのは『バードマン』からですね。

※間違えて『BIUTIFUL』から参加してると

書いていたので修正 しました。 (4/10)

 

***

 

ここでやっぱり気になるのは撮影監督が

過去4作がロドリゴ・プリエトだったのに

『バードマン』そして『The Revenant』では

エマニュエル・ルベツキになっていることでしょうか。

 

ワンカットのアイディアの時点では

確かに『バードマン』にはルベツキの方が向いているイメージですが、

アモーレス・ペロス』のコメンタリーで

ロドリゴ・プリエトの功績にもふれており、

「老後も面倒みるよ!」みたいなことを言っていたので、

この撮影監督が変わったのが気になります。

 

撮影監督だけじゃなくイニャリトゥの周囲の環境も

どんどん変化して行っているようではあります。

どういう経緯で脚本・撮影・編集が変化していったのかは

今回では調べることはできませんでした。

 

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最後に、イニャリトゥが『アモーレス・ペロス』で

「失ったものは、失ったまま成長していくしかない」と

オーディオコメンタリーで言っていて、

フィルモグラフィー上好きな映画も好みじゃない映画は

ありますが、信頼できる人だなと思いました。

 

 ということで、公開まであと2日です。 

勿論公開日に観ますが、どこで観ましょうか。

映画は勿論ですが、いろいろな感想もやっと読めるかと思うと

それもとても楽しみです。

 

***

 

 私はショーン・ペンと合わない呪いにでもかかっているのか、と思った。

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ロドリゴ・プリエト撮影監督!

この人の画は下品なシーンでも上品だし、

距離感が絶妙な突き放しだけど

愛情というよりはキャラクターに愛着を感じてとても好きです。 

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『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』関連の

過去の記事です。よろしければ!

 

pygocelism.hatenablog.com

 

 

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