ちんとんしゃんてんとん

好きな娯楽、ダラダラ日記、生活のことを書いている

『セッション』を観た。(ネタバレあり)

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監督:デイミアン・チャゼル

出演:マイルズ・テラー

   J・K・シモンズ

 

何かと話題で都内3館は大体満席。

観るの大変でしたー。

 

ネタバレというネタバレはしていないのですが

似ているや参考にしている映画は挙がっています。

登場人物に関してかなり否定的です。

そして長いです。

苦手な方は読まないことをおすすめします。

 

 

凡人は、天才にはなれないのだから

 

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フレッチャー先生の嫌いなところを箇条書き。

 

  • 暴力的
  • 独善的
  • 自己愛が強そう
  • ジャズ以外の音楽を見下してそう

 

大学生時代、ビッグバンドジャズサークルにいて

ここまでひどい人はいないですけど、

こういう気質の方には心当たりがあります。

ジャズもかっこいいなと思っていたのですが、

ジャズ以外の音楽の方が好きだった私にとっては

ジャズから心が離れてしまう一因でした。

 

そんな人がいるってのは割とジャズあるあるなのかもしれませんが、

そんなこんなで私はフレッチャーのことを好きにはなれませんでした。

というかハッキリ嫌いです。

「○○は死んだ」って表現する人、

あんまり信用しちゃいけないって思いますけど、

まさにフレッチャー先生もそんなことを言います。

 

それまでのフレッチャー先生は

どういう意図で指導しているのか分からなくとも

これが素晴らしい音楽へと導く先生なりの指導法なのだろう、と

私は思いながら観ていました。

(多分多くの方が言ってらっしゃると思うのですが

あそこまでひどくなくても、どこにでもああいう吹奏楽

オケやビックバンドの先生やコンマスはいます)

 

でも、あのバーでの発言やその後のJVCでの行動を観るや、

「この人、音楽のこと本当好きなのか?」と疑うばかりでした。

 

それはアンドリューも同じです。

楽器を大切にしない、バンドメンバーと練習したりしない。

(ジミヘンがギター燃やすのとは意味が違う)

私は決して上手いとは言えないビッグバンドジャズサークルに所属は

していましたけど、それが演奏にとって

大切なことだってことぐらいは分かります。

 

彼らに音楽愛が全くない訳ではないと思うのですが、

それよりも自己愛が大きいってのかな、と思います。

彼らは各人それぞれに”偉大なミュージシャン”を目指していましたが、

どんなに”精一杯の努力”をしようとも、そこには到達しえない2人が

何になったかというと、狂人だと私は思いました。

才能を求めるけれど、結局手に入れられない凡人が

自分なり(本当に自分なりでしかない)に努力して努力して

最終的に手にするものは狂気なのかもしれません。

 

ラスト10分、あの演奏は確かにすごいと思ったんです。 

魂削って身体のして演奏していることは伝わりました。

他人と有機的につながり、他者や自分を救うような音楽は

そこにはありませんでしたが、

ミュージシャンにはなれなかったおちぶれた元教師と

有名になりたい願望が強いおちぶれた若者の

自己愛の肥大してしまったものを受け止める音楽ではありました。

「自分が何者かになるために、それが天才でなくてもいい」という

そういう魂の削り方を観たんだと思いましたし、

そして、それは否定できないし、

馬鹿にもできないものだと思いました。

 

結局これは音楽映画なのだと思います。

(監督がそういうつもりで撮ってないかもしれませんが)

今年公開されて良い話をよく聞く

『はじまりのうた』という音楽映画がありますが、

「音楽が好き」っていう純粋な気持ちにみちた

とても気持ちのよい映画でした。

 

ある意味それとは真逆ですね。

「音楽が好き」っていう純粋な気持ちがなくても

音楽は出来るし、音楽は救うこともできれば

救わないことだってあるっていう。

そういう音楽映画なのだと思いました。

 

***

 

解釈がこちらに投げられた映画なので、

観る人によってはフレッチャーが悪人には見えないようで

本当観る人によって映画は全然違うなーと思いました。

 

***

 

それにしても興奮する要素ってあって、

編集とカメラワークに関して言えば、

本当素晴らしいと思いました。

普通にやったのでは穴が出てきそうな脚本だと

思いますが、それすら乗り越えてしまう

パワーを持った映画であることは間違いないです。

 

でも、すごい映画だと思っていても、

この映画を「好きだ!」というのはとても抵抗があります。

 

 

菊地さんと町山さんのいざこざも楽しかったのですが

これもとても楽しかったです。

 

st.wowow.co.jp

 

ぷらすとで挙がっていた映画は以下です。

 

 この映画に似ていると言われていた。

家でわーわー騒ぎながら観ました。

 

最終的にはこれを目指したんだそうな。

 

 ラスト10分はこれを参考にしたらしいです。

タランティーノで一番好き。