『フランシス・ハ』を観た。
監督:ノア・バームバック
脚本:ノア・バームバック
グレタ・ガーウィグ
出演:グレタ・ガーウィグ
ミッキー・サムナー
27歳、モダンダンサーの実習生、
NY暮らしのフランシス。
一緒に暮らしているソフィーが出て行くことになってから、
住むところに困って…みたいな話。
ストーリーらしいストーリーはあまりないけど、
フランシスの成長映画です。
!!!ネタバレしています!!!
ユーロスペースで公開中。
「これは私か!?」苦行映画!
そういう映画は年に1回必ずあるんですけど、
今年はコレだったようです。
ノア・バームバックの『イカとクジラ』はコメディなんですけど、
全然笑って観られなくて、すんごい苦い映画だと感じていたんですが、
それでもキャラクターがどこか憎めない映画でした。
ラストのカットがとても印象的で
好きだな、と思っていた印象があります。
今回の『フランシス・ハ』も私はそんな感じで観ていました。
フランシスは27歳で、
私は今月で30歳になります。
私が27歳の時はちょうどフランシスっぽいところがあって、
そこから結婚が決まったと同時に急にいろいろ
割り切れたり、弁えられるようになった気がします。
ちょうどこの映画ではソフィーみたいな感じでしょうか。
ということで、誰も聞いていないけど
フランシスの、私と共通するトコロを箇条書き。
①掃除がとても苦手
②空気読めずに思ったことをそのまま言う
③仲の良い友達を恋人に例える
④「現実的でない部分的ななりたい自分」が一等大事
書いてて胃が痛くなる思い…キッツ…
『イカとクジラ』もそうでしたが
登場人物が滑稽になりすぎないように
ある程度の距離感を持って描かれていて、
『フランシス・ハ』が白黒映画なのは
そういう演出の一環なのかな、と思いました。
きっとカラーだとフランシスはもっとリアルで
等身大になってしまうのではないでしょうか。
この映画の特に好きなところは
フランシスが振り付けした舞台が終わるところです。
フランシスのことを変人と扱っていた人たちも
ちょっとずつこじらせていて、
フランシス同様にちょっとずつそれと向き合っている、
ということが伝わりました。
フランシスの話だけれど、フランシスだけじゃない。
あと好きなのは、自意識の変化よりも先に
環境の変化を強いられる話の展開です。
「やってみたら案外よかった」っていうのは、
リアルだなーと思いました。
理想と現実の距離感ってそういうもんだと
改めて思います。
そうやって自分で自分のことがちょっとずつ分かっていき、
自分のことを自分で外に伝えることができるようになっていく。
そんな過程が『フランシス・ハ』なんだな、と。
全てはラストカットが象徴していますね。
最後に、愛らしさと痛さのバランスがいいこの映画は
同年代26〜29ぐらいがドンピシャにくるのではないでしょうか。
20代も終わるこの時期に、自分の痛い時期を「鑑賞」できたのは
とても良いタイミングだなと我ながら思います。